【演劇部】

演劇部について

全国高校演劇大会では『修学旅行』(2005年)、『河童』(2008年)、『もしイタ~もし高校野球の女子マネージャーが青森の「イタコ」を呼んだら』(2012年)で最優秀賞を受賞、3度の日本一に輝いたほか、『生徒総会』(1999年)、『ともことサマーキャンプ』(2009年)、『翔べ!原子力ロボむつ』(2014年)、『アメイジング・グレイス』(2016年)で優秀賞を受賞しています(全国大会での受賞数は全国最多)。全国高校演劇研究大会(春フェス)の出場は5回(全国最多)。これらの功績により2006年にNHK東北ふるさと賞、2008年に東奥賞と青森県褒賞を受賞しています。青森空襲を体験した方々からの取材や、手記などを元に部員自ら構成・演出した『7月28日を知っていますか?』を毎年7月28日(空襲の日)に上演し続けて5年目。その取り組みは『RABドキュ 私たちは忘れない!~高校生が向き合った青森空襲~』(令和元年度日本民間放送連盟賞特別表彰部門青少年向け番組優秀賞)などのTV番組となって放送されました。今年夏に高知県高知市で行われる第66回全国高等学校演劇大会に『俺とマコトと終わらない昼休み』(写真)で出場が決まっています。

「もしイタ」について

【作品について】
上演時間は約60分。笑いあり涙ありの高校生活劇です。
 東日本大震災によってチームメイトや家族を失い、青森に転校してきた主人公の成長を描きます。
 本作は舞台装置や小道具を用いず、照明も音響も使いません。演劇部員全員が舞台を駆け回り、劇中歌を歌い、効果音を肉声で発します。「被災した方々のためになにかさせていただきたい」という部員の希望から生まれた本作は避難所や集会所など「どこでもやれる」必要があったのです。
 2011年9月から足かけ9年で全国の22都府県50市町と韓国・ソウルで104ステージ上演(2020年3月時点)。そのうちの八戸市、気仙沼市、大船渡市、釜石市、久慈市、仙台市、利府町、宮古市、盛岡市、陸前高田市、石巻市、山元町、塩竃市(野々島)、郡山市、いわき市、女川町、熊本市での公演は被災地応援公演として行われました。移動の多くはバス。その費用の大部分は募金で賄われました。会場の多くは避難所として使われた体育館や集会場で、観客の多くは隣接する仮設住宅団地の住人の方々でした。部員たちは壊滅した港町を歩き、瓦礫の山をいくつも見上げ、いくつもの避難所を清掃しました。自分なりに被災地と向き合うことで、演じる事への覚悟を固めていきました。
 本作は第58回全国高等学校演劇大会(2012年)で最優秀賞を受賞。同校演劇部として3度目の日本一を獲得しています。2014年11月には国内有数の国際演劇祭「フェスティバル/トーキョー」、2014年4月には韓国ソウルで行われる国際芸術祭「フェスティバル・ボム」に招待され、好評を得ました。また本作は2015年の映画「幕が上がる」(主演:ももいろクローバーZ)で取り上げられ、全国的な話題となりました。NHKEテレでも繰り返し放送され、多くの演劇ファンに愛されています。

【あらすじ】
 2011年5月。青森市にある某県立高校。その野球部に一人の女子マネージャーが入部します。彼女は1年生の頃、陸上部に入部しており、やり投げでインターハイに出場したほどの選手でしたが怪我のため現役を断念し、しかも陸上部が廃部になったため、2年生のこの時期に野球部に入部したのです。しかし肝心の野球部は部員が8人しかおらず、やる気のかけらもありません。一念発起した新人マネージャーは部員勧誘に乗り出し、ある転校生に目を留めます。彼は被災地の学校からこの春転校してきたばかりで、前の学校では野球部に所属していたというのです。「野球は辞めた」と言いはる彼をなんとか説得した彼女は「今度はちゃんとしたコーチに来て貰おう」と学校に掛け合います。しかしやってきたコーチはなんと、盲目の老婆、イタコでした。「ワの言うことを聞げば絶対甲子園さ行げる」と宣言する老婆。野球部はいったいどうなってしまうのでしょうか?